Halban’s fascia erogenous zone
Hスポットは膣壁後方上部の性感スポット。
概要
膣奥の上側に位置するハルバン筋膜あたりに性感スポットとがあるとフランス人の研究者から1980年代初めに提案されたのが最初[1]。ハルバン筋膜(Halban's fascia)とは、膀胱三角部と膣壁前部に挟まれた位置にある筋膜で、オーストリアの婦人科外科医、ジョセフ・ハルバン(Josef Halban)に由来した名前。
研究者によって呼び方は異なりやや混乱。エマニュエル・ジャニーニらは膣と尿道の間にあるスペースということで尿道膣空間(urethrovaginal space)と呼んでいる[2]。これに対して、解剖学的には膣と尿道の間には、尿道膣中隔(Urethrovaginal septum)が存在するので、尿道膣空間という名称は不適切だとの指摘がヴィンセンツォ・ピュッポから出ている[3]。ヴィンセンツォ・ピュッポはハルバン氏筋膜性感帯(Halban’s fascia erogenous zone)と呼んでいる。
SM美容ではジョセフ・ハルバンの「H」を取り『Hスポット』と呼んでいる。
Hスポットは広い意味で、膣壁前部の奥の部分の性感スポット複合体を意味する。これに対して、膣壁前部の入り口付近の性感スポット複合体がCUVに相当する。膣壁前部性感複合体は、CUVにさらにHスポットも含めたより広い膣壁前部の性感スポットを指し示すが、HスポットとCUVは分けて考えるべきであろう。
位置
研究者によって呼び方は異なりやや混乱しており、それぞれの名称が指し示す位置も異なるものかもしれない。ハルバン筋膜そのものは、膣の一番奥の上側の膣壁の「向こう側」に存在する(膣の内側ではない)。SM美容でいうヴァニラスポットと完全に一致している。また、チュア・チィ・アンが提唱した「前部円蓋性感帯に極めて近い。従って、Halban fascia ハルバン筋膜 Halban's fascia Fascia de Halbanヴァニラスポット Vスポット Hスポット ハルバン・スポット Tスポットらは、いずれも似たような位置を性感スポットとしている。簡単には「膣の一番奥の上側」である。 膣の一番奥の上側で、ヴァニラスポット Vスポット Hスポット ハルバン・スポット Tスポットと同じと考えてよいであろう。ただし、「尿道膣空間(urethrovaginal space)」と呼ぶ場合には、「一番奥」だけではなく、もう少し手前までも含めた「膣の上側」を含むのかもしれない。ちなみに、一部の研究者は、「尿道膣空間(urethrovaginal space)」領域が男性のペニスの構成単位である海綿体の一種、Corpus spongiosumに相当するのではと指摘しているが、少なくともハルバン筋膜は、解剖学的、発生学的にはCorpus spongiosumとは全く異なる。
特徴
ハルバン筋膜(Halban's fasciaとは、膀胱三角部と膣壁前部に挟まれた空間に存在する筋膜。繊維質に富む弾力性のある間葉組織で、繊維結合組織、血管、神経末端、分泌腺、筋繊維が豊富に存在する。クラウゼ小体かそれに近い神経末端をもつ。性的興奮により血液が流入するとされる。
別名
Hスポット ハルバン・スポット Halban’s fascia erogenous zone ハルバン氏筋膜性感帯 ヴァニラスポット
A, T, G, C・・といろいろあります
複合体・ゾーン・軸
脚注
- ↑ Minh, M., Smadja, A., De Sigalony, J. & Aetherr, J. Role du fascia de Halban dans la physiologie orgasmique feminine. Cahiers de Sexuol Clin 7, 169 (1981).
- ↑ Gravina, G.L., Brandetti, F., Martini, P., Carosa, E., Di Stasi, S.M., Morano, S., Lenzi, A. & Jannini, E.A. Measurement of the thickness of the urethrovaginal space in women with or without vaginal orgasm. The journal of sexual medicine 5, 610-8 (2008).
- ↑ Puppo, V. Anatomy of the Clitoris: Revision and Clarifications about the Anatomical Terms for the Clitoris Proposed (without Scientific Bases) by Helen O'Connell, Emmanuele Jannini, and Odile Buisson. ISRN obstetrics and gynecology 2011, 261464 (2011).