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[[膣]]奥の上側に位置する[[性感スポット]]とフランス人の研究者から1980年代初めに提案<ref>Minh, M., Smadja, A., De Sigalony, J. & Aetherr, J. Role du fascia de Halban dans la physiologie orgasmique feminine. ''Cahiers de Sexuol Clin'' '''7,''' 169 (1981).</ref>。研究者によって呼び方は異なる。[[エマニュエル・ジャニーニ]]らは[[膣]]と[[尿道]]の間にあるスペースということで[[尿道膣空間]]([[urethrovaginal space]])と呼んでいるが<ref name="sds67">Gravina, G.L., Brandetti, F., Martini, P., Carosa, E., Di Stasi, S.M., Morano, S., Lenzi, A. & Jannini, E.A. Measurement of the thickness of the urethrovaginal space in women with or without vaginal orgasm. ''The journal of sexual medicine'' '''5,''' 610-8 (2008).</ref> 、解剖学的には[[膣]]と[[尿道]]は[[尿道膣中隔]]([[Urethrovaginal septum]])と呼ぶべき部位なので、この名称は不適切で、[[ ハルバン氏筋膜性感帯]]([[Halban’s fascia erogenous zone]])と呼ぶ提案も出ている<ref name="sds38">Puppo, V. Anatomy of the Clitoris: Revision and Clarifications about the Anatomical Terms for the Clitoris Proposed (without Scientific Bases) by Helen O'Connell, Emmanuele Jannini, and Odile Buisson. ''ISRN obstetrics and gynecology'' '''2011,''' 261464 (2011).</ref>。この部位には、[[ハルバン筋膜]]([[Halban's fascia]][[Fascia de Halban]])に加え、繊維結合組織、血管、神経末端、分泌腺、筋繊維が豊富に存在する入り組んだ構造をもつ。一部の研究者は、この領域が男性の[[ペニス]]の構成単位である[[海綿体]]の一種、[[Corpus spongiosum]]に相当するのではと指摘しているが、解剖学的にはかなり異なる構造であるのが分かる。
[[膣]]奥の上側に位置する[[ハルバン筋膜]]あたりに[[性感スポット]]とがあるとフランス人の研究者から1980年代初めに提案されたのが最初<ref>Minh, M., Smadja, A., De Sigalony, J. & Aetherr, J. Role du fascia de Halban dans la physiologie orgasmique feminine. ''Cahiers de Sexuol Clin'' '''7,''' 169 (1981).</ref><ref>Hoang, N.M., Smadja, A. & Herve de Sigalony, J.P. Realite et utilite du fascia de Halban. ''J Gynecol Obstet Biol Reprod (Paris)'' '''20,''' 51-9 (1991).</ref>[[ハルバン筋膜]]([[Halban's fascia]])とは、[[膀胱三角部]]と膣壁前部に挟まれた位置にある[[筋膜]]で、オーストリアの婦人科外科医、[[ジョセフ・ハルバン]]([[Josef Halban]])に由来した名前。


[[ハルバン筋膜]]([[Halban's fascia]]とは、[[膀胱三角部]]と膣壁前部に挟まれた空間。繊維質に富む弾力性のある間葉組織で、[[脈管]]に富んだ筋繊維や、[[クラウゼ小体]]かそれに近い神経末端をもつ。性的興奮により血液が流入するとされる。
研究者によって呼び方は異なりやや混乱。[[恥骨頚部筋膜]]([[pubocervical fascia]])の一部として用いられる場合もあるし、同義語として用いられることもある。[[エマニュエル・ジャニーニ]]らは[[膣]]と[[尿道]]の間にある[[尿道膣空間]]([[urethrovaginal space]])の一部が[[ハルバン筋膜]]であるとしている<ref name="sds67">Gravina, G.L., Brandetti, F., Martini, P., Carosa, E., Di Stasi, S.M., Morano, S., Lenzi, A. & Jannini, E.A. Measurement of the thickness of the urethrovaginal space in women with or without vaginal orgasm. ''The journal of sexual medicine'' '''5,''' 610-8 (2008).</ref>。これに対し、[[ヴィンセンツォ・ピュッポ]]は、解剖学的には[[膣]]と[[尿道]]の間は、[[尿道膣中隔]]([[Urethrovaginal septum]])と呼ぶべきで、[[尿道膣空間]]という名称は不適切で、かつ[[ハルバン筋膜]]は[[膀胱三角部]]と膣壁前部に挟まれた[[筋膜]]で定義されると指摘し、[[性感スポット]]との関係には否定的<ref name="sds38">Puppo, V. Anatomy of the Clitoris: Revision and Clarifications about the Anatomical Terms for the Clitoris Proposed (without Scientific Bases) by Helen O'Connell, Emmanuele Jannini, and Odile Buisson. ''ISRN obstetrics and gynecology'' '''2011,''' 261464 (2011).</ref>。
 
[[SM美容]]では[[ジョセフ・ハルバン]]の「H」を取り『[[Hスポット]]』と呼んでいる。
 
[[Hスポット]]は広い意味で、[[膣壁前部]]の奥の部分の性感スポット複合体を意味する。これに対して、[[膣壁前部]]の入り口付近の性感スポット複合体が[[CUV]]に相当する。[[膣壁前部性感複合体]]=[[VACゾーン]]は、[[CUV]]にさらに[[尿道のカリナ]]や[[Hスポット]]も含めたより広い[[膣壁前部]]の[[性感スポット]]を指し示すが、[[Hスポット]]と[[CUV]]は分けて考えるべきであろう。
 
===位置===
研究者によって呼び方は異なりやや混乱しており、それぞれの名称が指し示す位置も異なるものかもしれない。[[ハルバン筋膜]]そのものは、[[膣]]の一番奥の上側の[[膣]]壁の「向こう側」に存在する([[膣]]の内側ではない)。[[SM美容]]でいう[[ヴァニラスポット]]と完全に一致している。また、[[チュア・チィ・アン]]が提唱した「[[前部円蓋性感帯]]に極めて近い。従って、{{Halban fascia別名}}{{ヴァニラスポット_別名}}らは、いずれも似たような位置を[[性感スポット]]としている。簡単には「'''膣の一番奥の上側'''」である。
膣の一番奥の上側で、{{ヴァニラスポット_別名}}と同じと考えてよいであろう。ただし、「[[尿道膣空間]]([[urethrovaginal space]])」と呼ぶ場合には、「一番奥」だけではなく、もう少し手前までも含めた「'''膣の上側'''」を含むのかもしれない。ちなみに、一部の研究者は、「[[尿道膣空間]]([[urethrovaginal space]])」領域が男性の[[ペニス]]の構成単位である[[海綿体]]の一種、[[Corpus spongiosum]]に相当するのではと指摘しているが、少なくとも[[ハルバン筋膜]]は、解剖学的、発生学的には[[Corpus spongiosum]]とは全く異なる。
 
===特徴===
[[ハルバン筋膜]]([[Halban's fascia]]とは、[[膀胱三角部]]と膣壁前部に挟まれた空間に存在する[[筋膜]]。繊維質に富む弾力性のある間葉組織で、繊維結合組織、血管、神経末端、分泌腺、筋繊維が豊富に存在する。[[クラウゼ小体]]かそれに近い神経末端をもつ。性的興奮により血液が流入するとされる。

2018年6月6日 (水) 09:43時点における最新版

奥の上側に位置するハルバン筋膜あたりに性感スポットとがあるとフランス人の研究者から1980年代初めに提案されたのが最初[1][2]ハルバン筋膜(Halban's fascia)とは、膀胱三角部と膣壁前部に挟まれた位置にある筋膜で、オーストリアの婦人科外科医、ジョセフ・ハルバン(Josef Halban)に由来した名前。

研究者によって呼び方は異なりやや混乱。恥骨頚部筋膜(pubocervical fascia)の一部として用いられる場合もあるし、同義語として用いられることもある。エマニュエル・ジャニーニらは尿道の間にある尿道膣空間(urethrovaginal space)の一部がハルバン筋膜であるとしている[3]。これに対し、ヴィンセンツォ・ピュッポは、解剖学的には尿道の間は、尿道膣中隔(Urethrovaginal septum)と呼ぶべきで、尿道膣空間という名称は不適切で、かつハルバン筋膜膀胱三角部と膣壁前部に挟まれた筋膜で定義されると指摘し、性感スポットとの関係には否定的[4]

SM美容ではジョセフ・ハルバンの「H」を取り『Hスポット』と呼んでいる。

Hスポットは広い意味で、膣壁前部の奥の部分の性感スポット複合体を意味する。これに対して、膣壁前部の入り口付近の性感スポット複合体がCUVに相当する。膣壁前部性感複合体=VACゾーンは、CUVにさらに尿道のカリナHスポットも含めたより広い膣壁前部性感スポットを指し示すが、HスポットCUVは分けて考えるべきであろう。

位置

研究者によって呼び方は異なりやや混乱しており、それぞれの名称が指し示す位置も異なるものかもしれない。ハルバン筋膜そのものは、の一番奥の上側の壁の「向こう側」に存在する(の内側ではない)。SM美容でいうヴァニラスポットと完全に一致している。また、チュア・チィ・アンが提唱した「前部円蓋性感帯に極めて近い。従って、Halban fascia ハルバン筋膜 Halban's fascia Fascia de Halbanヴァニラスポット Vスポット Hスポット ハルバン・スポット Tスポットらは、いずれも似たような位置を性感スポットとしている。簡単には「膣の一番奥の上側」である。 膣の一番奥の上側で、ヴァニラスポット Vスポット Hスポット ハルバン・スポット Tスポットと同じと考えてよいであろう。ただし、「尿道膣空間(urethrovaginal space)」と呼ぶ場合には、「一番奥」だけではなく、もう少し手前までも含めた「膣の上側」を含むのかもしれない。ちなみに、一部の研究者は、「尿道膣空間(urethrovaginal space)」領域が男性のペニスの構成単位である海綿体の一種、Corpus spongiosumに相当するのではと指摘しているが、少なくともハルバン筋膜は、解剖学的、発生学的にはCorpus spongiosumとは全く異なる。

特徴

ハルバン筋膜(Halban's fasciaとは、膀胱三角部と膣壁前部に挟まれた空間に存在する筋膜。繊維質に富む弾力性のある間葉組織で、繊維結合組織、血管、神経末端、分泌腺、筋繊維が豊富に存在する。クラウゼ小体かそれに近い神経末端をもつ。性的興奮により血液が流入するとされる。

  1. Minh, M., Smadja, A., De Sigalony, J. & Aetherr, J. Role du fascia de Halban dans la physiologie orgasmique feminine. Cahiers de Sexuol Clin 7, 169 (1981).
  2. Hoang, N.M., Smadja, A. & Herve de Sigalony, J.P. Realite et utilite du fascia de Halban. J Gynecol Obstet Biol Reprod (Paris) 20, 51-9 (1991).
  3. Gravina, G.L., Brandetti, F., Martini, P., Carosa, E., Di Stasi, S.M., Morano, S., Lenzi, A. & Jannini, E.A. Measurement of the thickness of the urethrovaginal space in women with or without vaginal orgasm. The journal of sexual medicine 5, 610-8 (2008).
  4. Puppo, V. Anatomy of the Clitoris: Revision and Clarifications about the Anatomical Terms for the Clitoris Proposed (without Scientific Bases) by Helen O'Connell, Emmanuele Jannini, and Odile Buisson. ISRN obstetrics and gynecology 2011, 261464 (2011).