タントラ

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タントラ(たんとら)とは、5-9世紀に形成されたインドの「哲学=宗教実践体系」。欧米でしばしば西欧的合理主義の対極の存在としてブームとなる。女性原理に基づいて体系化されているが特徴。

概要

タントラとは何か

5-9世紀に形成されたインドの「哲学=宗教実践体系」である。ただし「インド秘密教」全体を意味したり、インド「性愛術」を意味したりと、本来の意味から逸脱した使い方をされる場合も多い。また、象徴化された絵などが「タントラ・アート」として注目されており、「タントラ=タントラ芸術」といった使い方も多い。欧米でしばしば西欧的合理主義の対極の存在としてブームとなる。

タントラの特徴

アタルヴァ・ヴェーダを中心経典とし、シヴァ神とその妃であるシャクティを崇拝対象とする。他の古代宗教がそうであるように女性原理に基づいて体系化されている。また「数学」的要素が強いのも特徴。

タントラ成立の背景と位置づけ

当時既にインドには「仏教」「ヒンズー教」「ジャイナ教」が存在していたが、それらをクロスする形で独立に存在。ただし、特に「ヒンズー教」に影響を受けている。インド哲学=宗教の歴史は極めて古く、紀元前1,000年〜紀元前500年にまで遡ることができる。この時期に編纂された宗教=哲学書を「ヴェーダ」と呼ぶが、タントラヴェーダの流れを組む、哲学=宗教の実践書と位置づけることができる。

タントラの語源

サンスクリット語。語源としては「織機」、あるいは「横糸(スートラ)」に対する「堅糸」の意味。別説に「タン=ひろめる」と「トラーナ=救う」の組合せ、あるいは「タットヴァ=tattva=真実」と「マントラ=mantra=真言」の組合せ。

タントラとセックス

タントラの思想は長い歴史をもち、いろいろな流派に進化している。その中の、特にシヴァ派の「左道」と「シャークタ派」(性力派)では、男女交合を通じた神との一体化がめざされており、インド「性愛術」の意味で「タントラ」が語られる場合、このいずれかの流派の実践実技などを指している場合が多い。ただし、真言宗における立川流のように、あくまで一部の流派の話であって、タントラ全てが男女交合を通じた神との一体化を説いている訳ではない。

タントラとヨーガ

ヨーガ自体は紀元前から存在するタントラよりももっと古い修行法であるが、12世紀-13世紀には、シバ派のタントラ的な身体観を基礎とした「ハタ・ヨーガ」が生まれる。現在の日本でおこなわれているヨガ修業は、主にこの「ハタ・ヨーガ」のアーサナ(坐法)を中心としたものである。一般的に「タントラ・ヨーガ」と言われるものは、この「ハタ・ヨーガ」を基盤として現代風アレンジしたもので、近年の造語と思われる。

タントラでの宇宙生成

「ビンドゥ=種子=1」が根源的な存在。眠りの状態。ここに熱いエネルギーを注ぐことで「プルシャ=男性原理」と「プラクリティ=女性原理」が生まれる。熱いエネルギーのひとつに「AUM」の三文字を組み合わせたオームマントラがある。オームマントラは人間が宇宙創造の器であったことの認識を促し、同時に宇宙への合体を促す。「プラクリティ=女性原理」は3種のグナ、すなわち「ラジャス=激質」「サットヴァ=純質」「タマス=翳(えい)質」から構成され、これらグナは「プルシャ=男性原理」と出会うことで活動を開始。「ラジャス=激質」の活性化は「風」「空気」「火」「水」「土」の物質五元素を生み出す。

タントラの体系

シヴァ神の妃であるシャクティの崇拝が中心。「大宇宙」と「小宇宙」、「男性原理」と「女性原理」を結びつけているのがリンガヨニとする。

タントラと真言密教

真言密教の一派、立川流タントラの再生とみなす考えもある。

タントラのキーワード

シヴァ神とシャクティ、「大宇宙」と「小宇宙」、「男性原理」と「女性原理」、リンガヨニチャクラ、シュリー・ヤントラ、曼陀羅、クンダリーニ、宇宙卵、微細神、カーリー女神、ハヌマン、字母、五摩字

別名

Tantra 、तन्त्र 、Tantrism(タントラ思想)

脚注


関連項目

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